不動産投資の初心者向けの土地の活用方法
「土地を相続したけど、どうしたらいい?」
そんなお悩みを持っている方のために土地活用の種類(6種類)とそれぞれの長所・短所を説明します。
以前は(といっても昭和のことですが)土地を持ってさえいれば価値は上がっていったので、土地を「保有する」ことが最大の土地活用方法でした。
不動産投資が初心者であっても「保有する」だけですので、全く面倒がなかった時代です。
いやぁ~懐かしい(遠い目・・・)
と、懐かしんでも仕方ありません。
現在では土地を「どのように活用するか」で土地の価値が変わる時代です。
最も一般的といえるのがアパートやマンションなどの住宅用の建物を自身の土地に建てて賃貸収入を得ることで土地を活用する方法です。
立地条件としては通勤や通学に便利な駅へのアクセスが良好であることはもちろん、適度に店舗や公園などの公共施設などが充実していることも必要です。
この活用方法の長所は、一般的な活用方法なので多くの情報が収集でき、さまざまなアパートメーカーや地元工務店が建てたものを見比べて選ぶことができるということです。
また、相続税上の土地評価額が低くなるほか固定資産税も安くなります。
さらに、住宅利用の場合に活用できる補助金や助成金が多いのも特徴です。
一方、短所としてはサブリース契約などで管理会社に任せてそのままうまくいっているうちは問題ないですが、空室が発生して収益計画の変更が余儀なくされてしまうことや修繕費などの思わぬ出費、住民トラブルの発生などが挙げられます。
また、これらがなかったとしても、近くに競合物件ができて賃料の値下げの検討が必要になるなど大家として対応や判断が求められる場合も少なくありません。
次は店舗やビルなどの商業施設や事務所として利用する建物を建てて賃貸収入を得ることで土地を活用する方法です。
住宅地と異なって人通りが多く、店舗や事務所として需要があると判断できる立地が必要条件です。
さらに、住宅とは違った「スケルトン貸し」や「居抜き」という賃貸借契約もあるので、不動産投資の初心者というよりはやや不動産活用に慣れた人に向いている活用方法です。
この活用方法の長所として、賃借人は個人でなく企業などの法人が中心となるのが一般的なので一度契約してしまえば長期間空室リスクが回避できます。
また、賃借人の事業がうまくいけば「借り増し」してくれる場合もあります。
一方、短所としては賃借人は賃料に対してシビアなので減額交渉されたり、場合によっては一気に撤退して空室が発生したりすることがあります。
また住宅に比べて建物の建築費や設備の更新費用、維持管理にかかるランニングコストが大きくかかります。
土地の上に建物を建てると建築費という初期投資額が大きくなるので、この初期投資額を抑える目的で土地を駐車場として貸す方法があります。
この場合、簡単な整地や舗装だけで行える「月極」で収益を得る方法もあれば、タイマー付の機械を設置した「時間貸し」で行う方法もあります。
さらに最近では貸したいときだけ貸せるようなアプリも誕生しており、最も気軽に行える土地活用といえます。
この活用方法の長所は、繰り返しになりますが初期コストが建物の建設に比べて極めて低く維持管理も簡単なことです。
また、住宅などを建てる「建物所有が目的」の土地の賃貸借は「借地契約」となり、法律上のさまざまな縛りがありますが、駐車場の場合は「建物所有が目的」ではないので「借地契約」に該当せず、契約の期間や退去に関する事項など契約内容も自由に決めることができます。
とはいえ、建物を建てて活用した場合に比べると収益性が劣ることが一般的です。
また、住宅地として利用した場合に比べて固定資産税の軽減措置がないため税の負担が大きいという短所があります。
所有している土地の上に、賃借人が自身で住宅または店舗や事務所を建築するために土地を貸して、その対価を「地代」として得る土地活用方法があります。
このような土地の貸し方には「普通借地」という契約形態のほか、契約期間をキッチリ決めて終了時にはその土地が返還されることが前提の契約(「定期借地」契約)もあります。
この活用方法の長所は借地人自身が維持管理をするので賃貸借期間中のコストが少ないことです。
また、ナァナァになりがちな普通借地と違って、土地を貸す目的や期間などがキッチリ定められた賃貸借契約書を作成することが前提なので、土地オーナーとしては安心して土地を貸すことができる点も大きな長所といえます。
ただし、契約をキッチリ定めなければならないがゆえに契約締結のルールが細かく、加えて一度定めた契約期間や内容を一方的なオーナーの都合で変えることが難しいという点が短所になります。
所有する土地がマンション適地の土地オーナーに有効な活用方法が「等価交換」という方法です。
等価交換とは土地の所有者が土地を提供し、マンションディベロッパーなどがその土地上に建物を建て、土地所有者に対してその土地の価値に応じた床(区分所有の持分)を提供する方法です。
この活用方法は建物の建築費をマンションディベロッパーが負担するため、自己資本がなくても新しい建物を建てることができ、そこに住み続けることができます。
また、パートナーになるマンションディベロッパーは比較的大手が担当するので安心感があるというのがこの活用方法の長所です。
ただし、区分所有という形で土地を持ち続けることはできる一方、その土地は共有となるので個人による単独の意思で所有権を動かす(売買する)ことができなくなりますし、もし建物を建て替えたくなったとしてもほかの共有者の同意を得なければならないとして現実的には難しくなります。
最後の方法は土地を売却することです。
これは土地そのものの活用方法というより、土地を売って得た現金の活用法に関連するもので、資産を現金として保有したい人または土地を保有しても価値が上がることはなく、むしろ維持管理に手間暇がかかるのを避けたいと考える人が選択すべき方法です。
この方法だと土地を売却して得た現金を株や債券などのほかの資産に投資することが可能になるほか、土地の維持管理費が必要なくなります。
デフレ時には有効な資産運用といえます。
一方、売却によって得られる利益に対する譲渡所得税以外に、売買の仲介費用や登記手続き費用などが必要になります。
加えてインフレの場合には、土地を持っていれば得られたであろう利益を失うという短所があります。